
乾いた理性で、立場に殉ずる(5点)
司馬遼太郎を読み進める中で河合継之助の生涯をあつかったこの「峠」を発見しました。司馬さん自身、「サムライ」を書くためにさまざまな調査をする中で、この人物を発見したようです。これまで、幕末・維新の時代の群像の中で最も共感を覚えたのは、ある意味地味な役回りに徹する「花神」の大村益次郎でしたが、それに似た感銘をうけました。 群像の多くが、変動の急な時代の中でそれぞれに何らかの「軸」を定め、それに集中していきますが、河合の場合のそれは「長岡藩のリーダーという立場」でした。そして、見定めた軸の上に組み立てる行動はきわめて合理的です。しかし、軸の選択は合理的なものではありません。 迷いをかかえたとき、何を自分の「軸」としてもつか。最後の場面の情景は私の脳裏に残り続けるでしょう。
変わり者(4点)
河合継之助と言う人は、全く知らなかったのですが、戊辰戦争にもこんな背景があったんだと、最後には感動してしまいました。 司馬遼太郎さんは、この作品を書く前に陽明学の資料もたくさん集めたみたいなのですが、確か歴史と風土に、峠の話が出ていて、司馬さんの陽明学の見方はあまりよくなかったようです。 けれど、「春になって花が咲く、ありゃうそだ」と言うのには深く考えさせられました。春だって人間が作った言葉ですもんね。 個性がいっぱい詰まってて面白い作品です。
おおきな夢(4点)
この時代の人は、なんと広い想像力をもっているのでしょうか。人から耳で聞いた知識だけで、想像力を広げ、それを実行できる人。素敵な人生です。その想像力についていけない時代にイライラしている自分。当の本人達はいかがなものだったでしょうか?これも私の想像力。主人公の気持ちを考えて、今の時代と重ね合わせてみましょう。あなたが継之助ならどうします。無難な道を選びますか?ちなみにこの戦争後、継之助の墓は戦争で被害にあった人の恨みのため、ボロボロに壊されたそうです。 |