
感動の品(5点)
流麗な言葉を巧みに使って書かれた文章が、心にしみいる。全編をつうじて、込み上げるものがある。
やっぱ、いいですね(5点)
この人の文体は、透明感があっていいですね。とくに短編小説がすばらしいと思います。 読み出せば1〜2時間で終わってしまう本なので、内容については差し控えさせてもらいますが、買って損はない本です。もし買うなら、文庫本ではなく単行本で。そのほうが雰囲気が出ます。 文句なし☆5つ。
清々しい風韻が心にしみてくる宮城谷昌光さんの中編(5点)
淡々とした調べが奏でられていき、静かに胸に満ちてくるものがありました。 ラストでは不覚、涙がこぼれました。中国の漢王朝時代の話。波瀾万丈な戦のシーンはありません。 話のメインとなっているのは、生き別れた姉と弟の運命の変転、 彼らが描いた人生の軌跡です。 話の中にしばしば老子の思想に触れる場面があったせいでしょうか、 格調高い品位と優しさ、静かな慈しみの風韻が、作品の底に流れていました。 話の主人公は、名家だが今は日々の暮らしにも事欠く竇(とう)家の娘・ 猗房(いぼう)。彼女が選ばれて漢の王室に入ることに決まった日から、 話が動き出していきます。 きらきらと光る瞳を宿していた猗房。彼女の清廉な人柄、涼やかで 思いやりのある性格にとても惹かれました。その魅力の来るところは、 容貌の美しさからよりも、老子の思想に敬意を抱いている彼女の聡明さに よるところが大きかったです。あたかも、彼女の内側から染み出してくる 品格の如き性格の好ましさ。 もうひとりの重要な人物が、猗房とは六つ歳の離れた弟の広国(こうこく)。 人さらいに連れ去られ、彼もまた、運命の変転を身をもって体験していきます。 猗房と広国の姉弟が別離の後、どのような人生の軌跡を描き、どうなったか。 ふたりの旅路の行き着く果てに何が待っていたか。 そこに本書の一番の読みどころを感じ、涙が出てくるくらい感動しました。 |