
徳川時代の大奥(5点)
朝日新聞に連載されていた吉屋信子の『徳川の夫人たち』に次ぐ四代将軍家綱以降の柳営・大奥の女人たちの活躍を描いた名作『続 徳川の夫人たち』。本書はさらにその後半部の文庫化です。 とくに印象的なのは、歴史上に名高い「江島疑獄事件」の著者独自の解釈で、大方の作家や考証家とは相異なり、御年寄の江島と歌舞伎役者の生島との間に性的な関係は全くなく、この事件は表の役人が大奥・月光院らの勢力を排除するための謀略であった、と明快に記されている点です。 その後、幕末の才知優れた「最後の筆頭御年寄」滝山の見事な取りさばきで、無事に江戸城明け渡しが行われる迄の大奥の顛末が品のよい筆致で記されています。やや旧い小説なので史料の吟味などが現代の研究家の目から見ると幾らか ??難点無しとはしないでしょうが、ともあれ中学生の頃に本書を読んで以来、大奥に深い関心を懐くようになったことだけは事実です。 興味のある方々は是非にも御一読を。 |