
日本は勝ったけれど(5点)
日本海海戦で完璧な勝利を勝ち取った日本海軍
しかし、その代償はあまりにも大きかったのではないか?
日露戦争の十分な検証を行わずに、その後軍国主義へと走った日本
この本はそんな時代のターニングポイントをみごとに描いている。
ため息ばかりがでる日露戦争史(4点)
松山出身の軍人・秋山兄弟と俳人・正岡子規を軸に描く、明治日本の日露戦争史の最終巻。
日露戦争の勝利の影にあったものが、日ロ双方の将兵たちの、はなはだしい優柔不断、意気地のない判断ミス、そして意地汚い保身行為の数々に彩られていた様子を完膚なきまでに指摘した司馬遼太郎の筆使いにはうならされるばかりです。
あの戦争は近代化という点ではまだまだよちよち歩きだった日本があれだけの大帝国を相手に勝利を収めた画期的な戦さとして国際的にも高い評価を受けた、という程度の歴史的知識しかありませんでした。この小説を読む限りは、この戦争を境に日本は太平洋戦争へと歯止めの利かない転落を遂げていったという思いを強くするばかりです。
会戦とはうってかわって完全な勝利(5点)
これほどまでに完全な勝利はかつてなかったというほどの勝利を日本海軍が収めます。ロシアがその威信にかけて送り出したバルチック艦隊と、東郷平八郎率いる日本海軍との壮絶な激戦になるはずでした。 火力、艦数に勝るロシア有利が下馬評。 秋山真幸が練りに練った作戦。当日の東郷司令官の完全な指揮、それに一糸乱れず艦隊運動を行う日本海軍、戦いの前に編み出された正確無比な砲術。そして、戦火において動ずることなく行動できる戦士の士気。すべてにおいてロシア海軍を圧倒していたのでしょう。 戦いはあっけないほど完全に日本軍に軍配が上がりました。 ただ、ここでも敵軍のおそまつさに助けられる部分が大きく登場します。しかも、それが戦いの最も最初の部分、敵軍主力と日本海軍主力が最初にあいまみえる場面において出たものですから、『勝負は最初の30分に決した』のだそうです。 現代に生きる私たちが全く知らない、国家の為に命を投げ出す(太平洋戦争でのそれとは全く意味が違います)男達の壮絶な生き様に感動し続けていた私にとって、この勝利には胸のすく思いでした。 この本に出会うことができて本当に幸せだったと思います。 |