
「劇薬」以上のフランス革命(5点)
本書は、岩波ジュニア新書屈指の名著であり最高のフランス革命入門書の一つでもある。安易な革命礼賛書と違い、革命の二面性を公平に述べている。また革命構造を貴族、ブルジョア、大衆の三極構造で鮮やかに解いてみせる筆者の筆裁きはさすがである。本書ではフランス革命を「劇薬」として捉えてるが、革命後期の独裁恐怖政治がスターリン主義、ポルポト体制へと、共に生まれたナショナリズムがその後の帝国主義、総力戦体制へといずれも19〜20世紀において悲惨な影響を及ぼしたその後の歴史を見るとフランス革命は人類に対して「劇薬」以上の毒薬ではないか?
歴史にifは禁物だがもう少し穏便な別の道はなかったのかと個人的に思った。
高校生に贈りたい(5点)
遅塚さんはもう、功名を遂げて、改めて自分を誰かに対して証明する必要などない立場にある方だと思うが、そうなったからこそ、若い読者、もっと言えば序文で触れているような「青銅時代」の読者に一緒に考えよう、と渾身の力を込めて書いた本だと思う。 「歴史における劇薬」という副題も、なんとなく雰囲気でつけました、みたいなお手軽なもんじゃない。最初から最後まで、「フランス革命は人間精神の偉大な達成である一方で、数知れない尊い命を断頭台へと葬った暗い影を持つ歴史的な事件だった」「それは劇薬といっていいものだ」という問題意識に貫かれている。 ロベスピエールなど山岳派によるテロルによって三万五千〜四万人が断頭台の露となって消えたが、妥協的な改革路線をとった91年体制を打ち破り、貧しい農民や手工業者の生きる権利が高く掲げられたフランス革命の93年の段階があったからこそ「生存権」という基本的考えも、例えば日本国憲法の第二十五条に書かれるようになっているのであり「現代日本の私たちは、あの恐怖政治の血まみれの手からの贈り物を受けているのです」(p.169)というまとめは感動的だ。
歴史上の壮大なる実験(4点)
どんな人でもフランス革命という名前だけは聞いたことがあると思いますが、その内容や歴史的意義などについてはあまり知らないという人も多いと思います。この本は、そんなあなたのための、「フランス革命」の入門書です。 バスチーユから始まって、ルイ16世一家の処刑やヴァンデ戦争・ジャコバン派の独裁とそれに起因す恐怖政治を経て、ナポレオンの皇帝即位までの壮大なる歴史的実験の結果とそれに対する考察を非常に分かりやすくコンパクトに纏め上げています。 「ベルサイユの薔薇」が好きな人は、馴染みやすい題材ですから、比較的とっつきやすいと思います。 「自由・平等・友愛」のうち、一番目立たない友愛の重要性がお分かりいただければ幸いです。 |