
経営学的視点で製品開発のポイントを整理した良書(5点)
製品開発におけるポイントを最新の経営学の視点も交えて簡潔に記述しており,ビジネス書好きの実務家の頭の中の整理には最適の書.もちろん,製造業を研究対象としているMOT/経営学系研究者にとっても有益な書であろう.
それでは,ビジネス書に馴染みのない実務家にとってはどうか?評者も本書を2年前に購入した時点では,坦々とした記述に「そう言われればそうかもしれない」という程度の印象だった.しかし,その後関連する本や雑誌の記事を読んだ後で本書を読み直すと,世の中でいろいろ議論され研究されているエッセンスが簡潔にまとめられていることに気が付く.簡潔すぎて,その裏にある膨大な議論や研究の重みが十分に伝わってこなかったのかもしれない.
要するに,製品開発の知識を体系的に身に着けるには
「実体験」+「エッセンスとしての本書」+「関連研究・議論」
の3点セットが必要.どこから入るかは,実務家,研究者など,立場によって異なるということだろう.
フレームワークが分かりやすく整理されている(5点)
製品開発に関連するフレームワークが分かりやすく
整理されている。
製品開発の現場で何か課題に直面した際、思考の迷路
にはまって抜け出せないようなときに読むとヒントが
得られるかもしれない。
いわゆるMOTに関連する書籍はたくさん出ているが、
本書籍はコンパクトながら実践に活かせる内容が良く
まとまっていると思う。経営学者の中でも現場にじっ
くり入っている同氏ならではだろうか。
アカデミックにより過ぎず、個別の具体事例により過ぎず、
部、課長クラスの方、さらにそれを補佐されるような方に
参考になる書籍なのではないかと思う。
よりアカデミックな内容を求める場合は、藤本隆宏氏の
書籍の方がおすすめか。
タイトルだけで本を買うと…(1点)
届いたとたんに「あちゃー」と思ってしまう本がある。 横文字の羅列と4つ5つのパラグラフがごちゃまぜになった文章は実に読みにくい。あなたが将来学者になるつもりならばおおいに参考になるだろう。実務、特に新製品を開発する、と言う目的には沿わない。 まえがきから。「米国のビジネススクールにさえ、製品開発を必須の科目として教えているところはほとんどありません」 その理由として、製品開発の複雑性を挙げ、知識体系がないからだとする。この時点ですでに外している。 ものづくりの神様、西堀栄三郎氏は、「西堀流新製品開発−忍術もええで」の冒頭で次のように書いている。 「新製品開発そのものの持っていき具合は、決して普遍妥当性のある科学的なものではない」 つまり、製品開発は学校で教えられるような知識=学問ではないのである。 著者は製品開発に携わった経験がないのだろう。マツダにいたらしいが、逆算すれば5年程度。開発組織全体に言及できるほどの経験はない。 このことは、三次元CADに関して述べた部分でもわかる。設計者の作った三次元モデルは、そのままNCのための数値データに置き換えられない。機械設計者の間では常識である。 本書は、ビジネススクールで教えられる程度の知識で出来ているのだろう。 組織論なら、カルロス・ゴーン氏の「ルネサンス」の方がよりためになる。氏は、フランス国立理工科学校の出身。経営手腕は全て現場で磨かれたものである。 前出の西堀氏の著著にも、組織に関して言及した部分がいくつかある。本書が5ページを裂いて説明しているプロジェクト組織の権限について1ページで簡潔に説明してあるので、この点でも西堀博士の本の方が優れている。 |