
古代人の息吹を感じさせる(5点)
この写真集はいわゆる観光名所の写真ではない。鮮やかな色彩を羅列しただけの写真ではない。 入江氏の写真は、そこに写し出されたモノ(形象)の背後に潜む何かを感じさせてくれる。 形象の背後にかつてそこで古代人が何かを営み、そして滅んだ。それらが今ある自然と溶け合い、古代人の生きた息吹を感じさせる。この文字ではなかなか表せない気配、余情を入江氏は写真という媒体を通して表現できた稀有の写真家ではないか。氏の写真を見ると形象の背後にひそむ何かが伝わってきて情趣、情感、余情に浸ることができる。 氏の卓抜した感受性、鋭い洞察力と共に、奈良を愛し、一生奈良を撮り続けた写真家であったからこそ可能だったと思われる。 |