
自分自身のありようを考えさせてくれる(5点)
以前読んだ本から、大江健三郎氏の小説は難解、という印象が強くありましたが、この本は、氏が初めて子供に向けて書いた文章です、ということで読んでみました。
なぜ子供は学校に行くのか、子供の頃に尊敬していた人はどんな人か、どんなやり方で勉強してきたのか、なぜ子供は自殺すべきではないのか、など氏の子供時代のエピソードを織り込みながら、その時々に感じ考えたことや、今、考えていることなどが淡々と書かれています。
子供向けの文章とはいえ、内容的には人生論といえるものですので、大人が読んでも自分の今までの生き方やこれからのありようを考えさせてくれる濃い内容となっています。
私は、大江ゆかりさんの画も、淡くやわらかい色調で、ご夫婦が二人三脚で歩んでこられたような感じがして好きです。
子供を信用した作家(5点)
なぜ人を殺してはいけないのか。
なぜ自分を殺してはいけないのか。
子供に問われ、実際に大人も自分に問う。
難しかったこの問いについて、
常に問い、何かを探し続けた作家の答えは
取り返せないから。
こんなにすっきりした答えが出てくるとは。
この言葉が唐突に出てくると、ひょっとしたら
違和感を抱くのかもしれませんが、
それを語りだすまでのプロセスがその言葉に
重みを加えている。
普段の大江氏の文章は、複雑なことについて逃げずに語っているだけに
非常に難解な印象を抱きがちだが、
この本は子供に向けであり、
伝えたい言葉を厳選している。
年齢によってはわからないこともあるかもしれない。
しかし、何度も読むに値する内容であると思う。
大江ゆかり氏の絵もかわいらしい。
継承してほしいこと(5点)
偶然手にして初めて大江さんの書を読んだのですが、この本は わかりやすい文体で切々と訴えてくるような感があり、 感動しました。そして子どもの受験問題などで 悩んでいる友人にも勧めました。どうして学校にいかねばならないのか。 どんな人になりたかったか? 自分の「人となり」を考え直し、そして未来に続いていく、 自分の子どもたちに何が継承できるのか、考えされられました。 自分の勉強する目標がよくわからなくなった学生さんや、子育てに ふと不安になった人には心に響く言葉がたくさんあると思います。 |