
あの田中さんの正体を知る!(5点)
田中さんのノーベル賞受賞から随分と時間が経ちましたが、技術者の間でも
田中さんのイメージというのはかなり捻じ曲げられていて、本書によりようやく
すっきりした田中さん像を見出すことができました。
受賞前後の田中さんが出世したいのか、そうではないのか、などをはじめ
いろいろと技術者マインドに矛盾したものが含まれていたので、本人の書により、
否定されるべきものが否定されて、一本の筋が通ったという感じです。
私も日々、質量分析を使っていますが、MSは単なるツールとしてしか
見ていなかったので、自分の装置以外のイオン化などは余り理解しようと
していませんでしたが、田中さんの見出した(発見に近い)発明の意義も
本書を読めば、十分に理解できると思います。
理科系の知識がない方にはやはり難しい表現もあるかもしれませんが、
たとえ話などでサポートされて読みやすくなっていますので、一読を
お勧めします。
さすがノーベル賞受賞者と感じました。(4点)
本書を読むと筆者が何故43歳の若さでノーベル賞を受賞したのかが分かるような気がします。
報道では癒し系として、「偶然の発見」という内容が多かったように記憶しておりますが、
本書を読むとその発見も当然おきたのではないかと思います。
途中は専門的な言葉が多くて難しく感じるところもありますが、
是非エンジニアの方々に読んでいただきたいです。
いつも自分に限界を設けないこと(5点)
今さらながら、ノーベル小を受賞した、田中耕一さんの本です。私は田中耕一さんみたいな人が好きです。謙虚で、一つのことに一生懸命なところが素敵だと思いました。しかし、これはテレビで見るかぎりのイメージだし、ノーベル賞の受賞理由は、「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」とは一体なんなのかさっぱり見当もつきません。 ので、読んでみました。 3章に分かれていて、第1章は、自伝で、生まれてから、島津製作所でエンジニアとして働く日々などを綴っています。田中さんのおばあちゃんの「もったいない」と言う言葉が、 彼の発見の元になっていたり、あがり症で入社試験に落ちてしまったり、 受賞したときには、何がなんだかわからず、会社が用意してくれた「隔離室」に逃げ込んだりしたようです。ノーベル賞の裏話のようなことを知る事が出来、興味深いです。 田中さんは、テレビで取材されるたびに、ちょっと言った面白いことだけが、一人歩きして、本来の知ってもらいたい研究について、わかりやすく報道してくれなかった事を残念に思っていたそうです。第2章は、この「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」をわかりやすく田中さんが説明してくれます。化学から離れて何年も経ってしまった私にも分かり易いように、かなり丁寧です。実際、細かい理論まではわかりませんが、雰囲気はよくわかりました。 第3章は、さらに分かり易いように、山根一真さんとの講習対談です。 わかりにくいところを、読者の変わりに、山根さんがインタビューしてくれています。 最後のオマケの、田中さん取材記も、 面白く読むことができます。 一番印象的なのは、いつも自分に限界を設けないこと。 100%の目標を設定したら、失敗したときに次の設定は90%になってしまいます。 常に120%を設定して、失敗しても、続けていくうちに、120%がなんなくクリアできるようになります。そしたら、さらに120%の目標。これを続けていけば、気がつくと自分で設定した限界なんて大幅に超えていくことが出来ます。 |