
新しい「民営化」の議論の端緒(4点)
現在の、戦争請負会社(PMF)の状況を詳細に論じた書物。
その形成の歴史(傭兵制度との相違点)や、個々の会社の業務内容、その問題点、そして現状への具体的な政策立案など、内容は多岐に渡り興味深い。
ただ原著は註などもしっかりした学術的な体裁をとっているのに対し、翻訳がそうした註を大幅に省略している点は気になる。
それでも、同じ戦争請負会社を論じた書物に比較すると、そのボリュームも深さも図抜けている(というか、他の書物はこれに比べるとかなり見劣りがする)。戦争論・民営化論・国際関係論等々、幅広い関心から読むことができる。
戦争という暴力行為が「民営化」された場合、何が問題として浮上するのか。その端緒を知る上で手に取って読まれるべき一冊だと思う。
国際関係論の前提に挑戦するPMF産業の勃興(5点)
本書は、理論と実践の両方において、国際政治学に新たな研究領域を切り開く内容になっている。国際政治にせよ開発問題にせよ人道的介入の問題にせよ、この新たに出現した画期的な現象を素通りして論じることはもはや不可能となったと言っていいだろう。国民国家の誕生以来、外注化や民営化の可能性など一度も論じられたことのない唯一の領域は軍事であった。その最後の砦で今、国家の統制を離れてますます広い範囲の軍事業務が民間に委譲されている。そのことが意味するもの、その背景と原因、そして将来の展望を見渡すための極めて重要な一冊。原典は、アメリカ政治学協会から「2003年最優秀政治学図書」としてグラディス・M・カメラー賞を受賞している。
軍オタには物足りないかも。(3点)
内容は「広く・浅く」という感じ。 エグゼクティブ・アウトカムズ社のアフリカでの「事業内容」について詳しく書かれている点は良し。ただ、戦争への民間企業の関与がクローズアップされるきっかけとなった、これら企業のアフガンやイラクにおける活動が書かれていないのは残念。 またいわゆる「傭兵」の歴史については書かずとも良かったのでは? ブラックウォーター社などの新興勢力や、これらの企業に人員を取られて人不足に陥っている、軍の特殊部隊の現状などに焦点を当てた作品を次回は期待したい。 |