
華族制度について、基本がわかる。(4点)
本書では、明治17年7月7日公布された華族令による叙爵から、明治24年4月23日に行われた陞爵までを主に解説している。それぞれ、諸侯・公卿・勲功・神職・僧侶などの別に詳しく解説されている。例外的な適用を受けた中山家・松浦家・宗家の例が興味深い。第5章「侯爵が欲しい!」で語られる、嵯峨実愛(嵯峨浩の曽祖父)の陞爵への凄まじいまでの執念が面白いし、努力の甲斐あって、やっと侯爵になれた息子の公勝の爵禄要求がまた皮肉で可笑しい。嵯峨家は代々大臣家であったから、平堂上家と同じ伯爵では我慢がならなかったのだ。そして、皮肉なことに、伯爵以下では貴族院議員は選挙で選出され、歳費と旅費が支給されるのに対して、公・侯爵では世襲で無給なのだ。公爵は金禄公債と合わせるとほぼ10万円になるように家門永続資金を下賜されていた。が、侯爵にはなかった。その事実が公勝を侯爵への爵禄要求へと駆り立てたのだ。とはいえ、当時、巡査の初任給が6円という時代に、嵯峨家は年3000円の固定収入があったのだから、同情の余地は無い。 欲を言えば、もう少し後の叙爵についても触れて欲しかった。例えば、稲田邦植(徳島藩家老。淡路洲本1万4500石。)の男爵叙爵や徳川慶喜の公爵叙爵、財閥当主等の叙爵など。でも、本書は読んで面白かったし、幕末・明治からの歴史小説を読むのにも参考になると思う。
華族制度と日本の上流階級の基本書(5点)
前後70年という意外に短い華族の歴史であるが、その影響は陰に陽に現在の日本にも残っているといえよう。華族制度に関しては歴史雑誌で定期的に特集も組まれ、専門書もあるのだろうが、一般向けに書かれたものでは本書が基本書といっていいだろう。例えば華族に選ばれた者は公卿、大名家、神職、僧侶ならびに勲功華族であるが、勲功は別としてその基準はかなり明確であり、例外は数えるほどであったことが例を挙げて説明し尽くされている。 加えて本書はエピソードが豊富で読み物としても充分に面白い。特に爵位の上下を巡る話は体面を重視する名家にとっては必死のことであったことがよくわかる。続編ともいえる「華族たちの近代」も好著。
読みやすくてお勧め(4点)
まず読んで欲しい。退屈しない一冊かと! |